
NanoKVM を使用可能にする方法です。
NanoKVM

NanoKVMは、KVM 製品のひとつです。KVM は以下の意味を持ちます:
- K: Keyboard
- V: Video
- M: Mouse
一般的なパソコンは、パソコン本体とキーボード、画面、マウスは近い場所にあり、特にノートパソコンでは、すべてがひとつにまとまっています。
一方、KVM は、パソコン本体とユーザ インタフェース (KVM) が別の場所に置かれている場合に使用されます。
離れた場所にある端末を操作する方法は、 VNC や RDP など類似するものも多くありますが、これらは操作される側にソフトウェアのインストールや設定、ネットワーク接続が必要です。
一方、 NanoKVM は、操作される側がネットワークにつながっていない (つなぐことができない) 環境でも利用できます。
本記事では、NanoKVM を使用可能にする方法を記載します。
NanoKVM を使用可能にする方法
IMG ファイルの準備
ファイルをダウンロードする

以下よりダウンロードします:
※上記リンクは最新版が表示されますので、ファイル名等は適宜お読み替えください
この例では「20250217_NanoKVM_Rev1_4_0.img.xz」をダウンロードしました。
ダウンロードが完了したら、[ダウンロード フォルダーを開く]をクリックします。
ファイルを展開して IMG ファイルを準備する

ダウンロード フォルダーが開かれたら、ダウンロードしたファイルを[右クリック]して[すべて展開]をクリックします。

「展開先の選択とファイルの展開」が表示されたら[展開]をクリックし、展開が完了するまで待ちます。

展開が完了し「20250217_NanoKVM_Rev1_4_0.img」が取り出されたところ。
IMG ファイルの書き込み
Rufus をダウンロードする

以下よりダウンロードします:
この例では「rufus-4.9.exe」をクリックしてダウンロードしました。ダウンロードが完了したら[ファイルを開く]をクリックします。
Rufus を起動する

「ユーザー アカウント制御」が表示されたら[はい]をクリックします。

「オンラインで行われるアップデートの自動確認機能を有効にしますか?」と表示されたら「はい」または「いいえ」のいずれかを選択します。

起動したところ。
IMG ファイルを指定する

展開しておいた IMG ファイルを rufus にドラッグ アンド ドロップします。
microSD カードを挿入する

microSD カードを挿入し、「デバイス」から選択します。
※慎重に選択してください
microSD カードに IMG ファイルを書き込む

準備ができたら[スタート]をクリックします。

選択したデバイスのデータが消去される警告が表示されますので、内容をよく確認して、続行する場合は[OK]をクリックします。

書き込みが終わるまで待ちます。

書き込みが完了したら[閉じる]をクリックします。
microSD カードを取り出す

microSD カード取り出し操作を行います。

取り外し可能の表示がされたら microSD カードを取り外します。
※環境により表示は異なります
NanoKVM を使用する
準備する
準備する

- 付属のヒートシンクを取り付けます
- 作成した microSD カードを装置に挿入します
配線する

- 操作される側の USB ポートと装置の USB-C ポート
- 操作される側の HDMI 端子と装置の HDMI 端子
- 装置の LAN 端子に操作する側と同じネットワークに接続された LAN ケーブル
※装置は USB ポートから給電されますので、最後に接続します
起動する

USB ポートから給電されると起動します。
接続する

操作する側から装置の IP アドレスを開きます。
http://192.168.1.14
※この例では「http://192.168.1.14」を開きます
初回起動

初回起動時は admin / admin でログインします:
- ユーザ名: admin
- パスワード: admin
パスワードを変更する

「パスワード変更」が表示されたら[OK]をクリックします。

以下を入力して[OK]をクリックします。
- ユーザ名
- パスワード
- パスワード (確認)
パスワードが正しく変更されると再度ログイン画面になりますので、設定した認証情報でログインします。
アップデートする
[歯車アイコン]をクリック、[アップデートの確認]をクリックします。

アップデートがあるときは、[確認]をクリックして更新を開始します。

アップデートがないときは、「最新のバージョンを既に持っています」と表示されますので、アップデート操作は必要ありません。
エラー例
操作ができなくなった
VNC は、基本的にパソコンの画面を複製して転送するため、パソコンで見えている画面を操作することができます。また、複数のディスプレイがあるときは、接続するディスプレイを選択して表示させ、操作ができます。
一方、装置は、操作される側からみると「HDMI 接続された単なるディスプレイ」としか認識されません。ディスプレイの設定を変更すると等の操作をすると、その時点で操作ができなくなる場合があります。(「見えている画面」と「操作している画面」が異なる)
少し離れた場所なら大きな問題にはならないかもしれませんが、この装置は、遠隔地の端末を操作するために使われるものですから、特に「マルチディスプレイ」に関する設定は慎重にテストや操作することを強く推奨します。
サーバ用の特別な遠隔操作システムでは、システム環境に依存することなく、電源投入や BIOS 等システム管理に必要なあらゆる操作ができます。必要な機能や想定されるケース等を熟考し、適切なシステムを選択ください。

なお、この装置のファミリには、もう少し強い管理機能を持った製品もあります。公式サイトによる機能比較等を参考にご検討ください。
※画像:参考文献より
操作ができない
ケーブルの挿入場所が違っている
USB ケーブルは操作される側のパソコンの USB ポートに接続されている必要があります。
操作する側のブラウザ上でのオペレータの操作は、装置を通して操作される側に転送されますが、この際、操作される側は USB 接続されたキーボードやマウスからの入力として受け取るため、装置から操作される側には USB 接続される必要があります。
※同時に、装置は、操作される側の USB ポートから電力を受け取って動作します
ケーブルの種類が違っている
USB ケーブルにはいくつか種類があります。この記事の場合、主に次の 2 つの種類が考えられます:
- 充電機能を持ったケーブル
- 充電機能と通信機能を持ったケーブル
どちらのケーブルを使っても装置は起動しますが、次の違いがあります:
- 充電ケーブル: 画面は見えますが、通信ができないため、キーボードやマウスの操作を伝えることができません
- 通信ケーブル: 画面が見え、通信によってキーボードやマウスの操作を伝えることができます
例えば、お手持ちのケーブルの片方をスマートフォンに差し込み、もう片方をパソコンに差し込んだ時、パソコンにスマートフォンが認識されるようであれば通信ケーブルの可能性が高いです (注:スマートフォンの機種によっては USB-C に対応していない場合がありますので、ご注意ください)
非対応の環境で使用している
いくつかの環境で試験したところ、問題なく動作する環境もあれば、画面は見るが操作はできない環境などが確認できました。また、変換アダプタを使った映像信号は、正しく入力されない場合もありました。
高度な使い方

※画像:参考文献より
コンソールを使用したい
本記事では割愛しますが、ピンから信号線を引き出すことでコンソールを使用しているケースがあるようです。
ハードウェアと組み合わせたい
本記事では割愛しますが、ピンから信号線を引き出したり、コードを書き換えることでた対応しているケースがあるようです。
参考
テストのために準備した microSD カード (32 GB) がどのように変更されたかの参考情報です。
作業前:
- 未割り当て
作業後:

- 16 MB FAT アクティブ, プライマリ *1
- 1.5 GB プライマリ
- 27.90 GB 未割り当て
起動後 / アップデート後:

- 16 MB FAT アクティブ, プライマリ *1
- 7.61 GB プライマリ
- 21.78 GB プライマリ
(参考) 検証したところ、ドライブ レターが割り当てられてる場合と、割り当てられていない場合がありました。ドライブ レターがいずれの領域にも割り当てられていないときは、エクスプローラーから取り出し操作ができないので、パソコンの電源を切ってから microSD カードを取り出すか、ディスクの管理から取り出し操作を行う必要があります。一度 microSD カードを作ってしまえば、後の作業は装置を経由して行うため、パソコンで操作をすることはないと思いますが、パソコンに頻繁に接続するような場合は、(おすすめはしませんが) 利便性を考えて *1 にドライブ レターを割り当て、エクスプローラーから取り出しがかんたんにできるようにすることもできます。
関連
リモート操作する方法については、次のサポート記事をご参照ください:
参考文献等
- sipeed/NanoKVM: Affordable, Multifunctional, Nano RISC-V IP-KVM
https://github.com/sipeed/NanoKVM
注意
- 本操作例は、NanoKVM を使用するための SD カードを準備する方法です
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